オープンソースの定義八田真行訳、2004年2月21日バージョン 1.9
はじめに「オープンソース」とは、単にソースコードが入手できるという
ことだけを意味するのではありません。「オープンソース」であるプ
ログラムの頒布条件は、以下の基準を満たしていなければなりません。
「オープンソース」であるライセンス(以下「ライセンス」と略)は、出自 の様々なプログラムを集めたソフトウェア頒布物(ディストリビューション)の 一部として、ソフトウェアを販売あるいは無料で頒布することを制限してはな りません。 ライセンスは、このような販売に関して印税その他の報酬を要求 してはなりませ ん。
2. ソースコード「オープンソース」であるプログラムはソースコードを含んでいなければ ならず 、コンパイル済形式と同様にソースコードでの頒布も許可されていな ければなりません。何らかの事情でソースコードと共に頒布しない場合には、 ソースコードを複製に要するコストとして妥当な額程度の費用で入手できる方 法を用意し、それをはっきりと公表しなければなりません。方法として好まし いのはインターネッ トを通じての無料ダウンロードです。ソースコードは、 プログラマがプログラム を変更しやすい形態でなければなりません。意図的 にソースコードを分かりにくくすることは許されませんし、プリプロセッサや 変換プログラムの出力のような中間形式は認められません。
3. 派生ソフトウェアライセンスは、ソフトウェアの変更と派生ソフトウェアの作成、並びに派 生ソフトウェアを元のソフトウェアと同じライセンスの下で頒布することを許 可しなければなりません。
4. 作者のソースコードの完全性(integrity)バイナリ構築の際にプログラムを変更するため、ソースコードと一緒に 「パッチファイル」を頒布することを認める場合に限り、ライセン スによって変更さ れたソースコードの頒布を制限することができます。ライ センスは、変更された ソースコードから構築されたソフトウェアの頒布を明 確に許可していなければなりませんが、派生ソフトウェアに元のソフトウェア とは異なる名前やバージョン番号をつけるよう義務付けるのは構いません。
5. 個人やグループに対する差別の禁止ライセンスは特定の個人やグループを差別してはなりません。
6. 利用する分野(fields of endeavor)に対する差別の禁止ライセンスはある特定の分野でプログラムを使うことを制限してはなりま せん。 例えば、プログラムの企業での使用や、遺伝子研究の分野での使用を 制限してはなりません。
7. ライセンスの分配(distribution)プログラムに付随する権利はそのプログラムが再頒布された者全てに等し く認め られなければならず、彼らが何らかの追加的ライセンスに同意するこ とを必要としてはなりません。
8. 特定製品でのみ有効なライセンスの禁止プログラムに付与された権利は、それがある特定のソフトウェア頒布物の 一部であるということに依存するものであってはなりません。プログラムをそ の頒布物 から取り出したとしても、そのプログラム自身のライセンスの範囲 内で使用あるいは頒布される限り、プログラムが再頒布される全ての人々が、 元のソフトウェア頒布物において与えられていた権利と同等の権利を有するこ とを保証しなければなりません。
9. 他のソフトウェアを制限するライセンスの禁止ライセンスはそのソフトウェアと共に頒布される他のソフトウェアに制限 を設けてはなりません。例えば、ライセンスは同じ媒体で頒布される他のプロ グラムが全てオープンソースソフトウェアであることを要求してはなりません。
10. ライセンスは技術中立的でなければならないライセンス中に、特定の技術やインターフェースの様式に強く依存するような 規定があってはなりません。
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準拠について(この節は「オープンソースの定義」の一部ではありません) 私たちはこの「オープンソースの定義」が、ソフトウェア界の人々の大多 数が 「オープンソース」という語に元来込めていて、今も依然として込めて いる意味を捉えていると思っていますが、この語が広く使われるようになるに つれて、そ の意味するところがいくぶん正確さを失っている感は否めません。 そこでOSIでは、ソフトウェアの頒布に適用されるライセンスがOSDに準拠して いること をOSI認定マークで証明することにしています。 私たちは 「オープンソース」という用語をOSDに準拠しているという意味で使 うことを推奨していますが、 総称的用語としての「オープンソース」には何 の保障もありません。OSI認定マークについての情報、そ して OSI が OSD に準拠していると認めたライセンスのリストについては認定 マークのページをご覧下さい。 更新履歴
1.0 DFSGと基本的には同一内容、MPLとQPLを10節に追加。
起源
Bruce Perensが「Debianフリーソフトウェアガイドライン」としてこの文 書の最初の草稿を書きました。その後彼は、Debian の開発者たちが1997年6月 に行っ た、1ヵ月にも及ぶ電子メールによる討議において寄せられた意見を採 り入れて 推敲し、Debian固有の話題を文書から削除して、この「オープンソー スの定義」を書き上げました。
The Open Source Initiativeによるその他の文書 |