チャレンジャーとしてのMicrosoft、チャンピオンとしてのGoogle

MicrosoftによるYahoo!買収の動きは、果たして「反競争的」なのだろうか。

著名なブロガー、池田信夫氏のマイクロソフトの高い買い物という記事を読んだ。MicrosoftによるYahoo!買収の動きに関して、

NYタイムズの社説まで、「この買収はどうせ失敗するから、規制当局はほっておけ」と冷たい。

とあるが、これは池田氏の読み間違いだ。確かに市場は今回のMS経営陣の判断を評価していないという話は出てくるが、この記事の主眼は、MSによるYahoo!買収の成否、あるいはそれが「高い買い物」であるかどうかではない。

NYタイムズの記事では、MSがこれまでにも競争相手を攻撃し押しつぶしてきたこと、しかしそれだけでは、規制当局が今回のYahoo!買収を反競争的であるとしてブロックするのに十分な理由とはならないことを指摘している。ただしそれは、MSによる買収が失敗に終わる可能性が高いからではない。現在検索やオンライン広告の市場で独占的な地位を築きつつあるのは、MSでもなければYahoo!でもなく、ましてやMSプラスYahoo!ですらなく、他ならぬGoogleではないか、というのがその理由だ。「800ポンドのゴリラは誰?」(Who’s the 800-Pound Gorilla?)という記事のタイトルがそもそも示唆するように、検索市場で圧倒的な巨大ゴリラとして覇を唱えているのはGoogleのほうなのである。GoogleはMSの動きを反競争的であるとして非難するが、むしろMS&Yahoo!という、言ってみれば「負け犬連合」が出来たほうが、競争が激化して消費者にとってはプラスになるのではないか、という問題提起がこの記事の主眼であろう。だからこそ、記事の最終段落では

確かに、自らのユーザにMSN検索エンジンを押しつけ、他を排除しようとするMicrosoftの動きを止めさせるには規制による圧力が必要だった。このことは、規制当局がMicrosoftの「本能」を今後もずっと油断なく見張っていかなければならないことを示唆している。もしGoogleが、MicrosoftとYahooの結合が反競争的であるとする主張を明確な理由で補強できるのであれば、そうすべきだ。「レッドモンドの悪いやつら」の脅威を曖昧にほのめかす程度では、空しい泣き言にしか聞こえない。

ということになる。Googleの抗議には確たる根拠がない、と言っているわけだ。

ちなみに、MSとYahoo!の合併に関しては、私は割と好意的に見ている。好意的に見ているからといって、それがうまく行くかというと(まさに池田氏が指摘するように)かなり疑問ではあるが、私は別にMSの株主でもYahoo!の株主でもないので構わない。もしうまく行けば、私たちユーザにとっては大変結構なことだという意味である。

未だに私たちは、Googleを巨人Microsoftに対するチャレンジャーとして好意的に見がちだ。確かにMSは相変わらず強大で油断のならない相手ではある。しかし、Googleだって強大になったのだ。検索やオンライン広告の市場が今後も健全に発展し、イノベーションが持続するためには、そろそろGoogleをシェアの面で現実的に脅かしうるような、強力なチャレンジャーが必要だと私は考える。別にそれが百度であってもWikiaSearchであっても構わないのだが、少なくとも現段階では率直に言って力不足という感は否めない。MS-Yahoo!連合がうまく軌道に乗れば、それは初めて真にGoogleを脅かしうるチャレンジャーとなりうるだろう。また、GoogleにしろMS-Yahoo!連合にしろ、(少なくとも当分の間は)競争を勝ち抜くべく必死にサービスの向上に努めるだろうから、私たちユーザにとってみればどのみち悪いことではないはずだ。

投稿者: mhatta

A rapidly-aging old-school geek in Japan.