「生成AIプリンシプル・コード(案)」への意見提出について

一般社団法人オープンソース・グループ・ジャパン (OSG-JP)は、「生成AIの適切な利活用等に向けた知的財産の保護及び透明性に関するプリンシプル・コード(仮称)(案)」に対するパブリックコメントとして、令和8年1月22日付けにて内閣府知的財産戦略推進事務局宛に意見書を提出しました。

本意見書は、知的財産の保護と透明性向上というプリンシプル・コードの目的には賛同しつつも、本案が「任意」の枠組みであっても、受入れ表明・届出・公表・年次更新や政府施策上のインセンティブ等を通じて、実務上の標準あるいは事実上の規制として機能し得る点に対して特に注意を促すものです。その中でも、米Open Source Initiativeが定める意味における「オープンソース」(Open Source)を基盤とした研究開発や「オープンソースAI」(Open Source AI)、ならびにオープンウェイトモデルの健全な流通を不必要に萎縮させないよう、表現と運用の見直しを求めています。

提出した意見の主なポイントは以下の通りです。

1. 「知的財産権を侵害しないこと」といった表現が、結果責任(無侵害保証)の要求として受け取られないよう、リスクベースで合理的な防止措置を尽くす趣旨へ修正すること。

2. robots.txtやペイウォール等のアクセス制御の尊重を、著作権等の知的財産権侵害と混同しないよう、知財・契約/アクセス制御・セキュリティ等をコード上において整理して切り分けること。

3. 「利用規定(禁止用途の明確化等)」の開示が、AUP型(追加利用規約型)の用途制限を事実上推奨するメッセージになり得る点を指摘し、注意喚起・安全配慮等の趣旨と、許諾条件としての用途制限を明確に区別すること。

4. 別紙の具体例において、「オープンソースライセンス」と「禁止用途」の例示が近接していることによって、用途制限付きの公開がオープンソースとして既定の路線であるかのような誤解を招き得る点を指摘し、用語混同を避ける注記等を求めること。

5. 国外事業者を含む適用対象の考え方は理解しつつ、遵守・不遵守のみをもって適法性や責任の有無を推定しないこと、ならびに調達・補助金・実証参加等の可否を一律に決めないこと。

6. 原則2・3 (権利者/利用者からの請求に基づく回答)について、URL単位の照会等が技術的に確認不能または過大負担となる場合があること、回答主体を当該サービスを提供し学習データ管理・ログ管理を実際に行える事業者に限定し、ミラー・再頒布者等を過度に巻き込まないことを求めること。

7. 「生成AIモデルのシステム基盤」等の定義が、推論・学習・評価等に用いられる一般目的の基盤ソフト(ライブラリ、フレームワーク、推論エンジン等)にまで射程を拡張し得る点を指摘し、国際的なAI基盤改発のプロジェクトへの参画萎縮を招かないよう、範囲や回答主体の明確化を求めること。

8. 「可能な限り」とされる多数の措置が累積して参入障壁となり得るため、比例性・段階化、未成熟な技術的措置を未実施として不利益に扱わないことを明記すること。

9. 公表媒体としてコーポレートサイトに限定せず、モデルカード、データカード、リポジトリ、頒布ページ等の一般にアクセス可能で継続的に参照できる媒体を同等に扱うこと。

OSG-JPは、オープンソースならびにオープンソースAIの健全なエコシステムが、透明性・説明責任・知的財産保護と両立しながら発展することを重視しています。本プリンシプル・コードが、国内外のイノベーションを阻害せず、また日本市場における過度な萎縮や不均衡を生まない形で整備されるよう、引き続き必要な議論に参加してまいります。

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