オープンソースの定義 (v1.7) 日本語版

(バージョン 1.7)

「オープンソース」とは、単にソースコードが入手できるということだけを意味するのではありません。「オープンソース」であるプログラムの配布条件は以下の基準を満たしていなければなりません。

1. 再配布の自由

「オープンソース」であるライセンス(以下「ライセンス」と略)は、出自の様々なプログラムを集めたソフトウェア配布物(ディストリビューション)の一部として、ソフトウェアを販売あるいは無料で配布することを制限してはなりません。 ライセンスは、このような販売に関して印税その他の報酬を要求してはなりません。 (理由)

2. ソースコード

「オープンソース」であるプログラムはソースコードを含んでいなければならず 、コンパイル済形式と同様にソースコードでの配布も許可されていなければなりません。何らかの事情でソースコードと共に配布しない場合には、ソースコードを複製に要するコストとして妥当な額程度の費用で入手できる方法を用意し、それをはっきりと公表しなければなりません。方法として好ましいのはインターネットを通じての無料ダウンロードです。ソースコードは、プログラマがプログラムを変更しやすい形態でなければなりません。意図的にソースコードを分かりにくくすることは許されませんし、プリプロセッサや変換プログラムの出力の ような中間形式は認められません。 (理由)

3. 派生ソフトウェア

ライセンスは、ソフトウェアの変更と派生ソフトウェアの作成、並びに派生ソフトウェアを元のソフトウェアと同じライセンスの下で配布することを許可しなければなりません。 (理由)

4. 作者のソースコードの完全性

バイナリ構築の際にプログラムを変更するため、ソースコードと一緒にパッチファイルを配布することを認める場合に限り、ライセンスによって変更されたソースコードの配布を制限することができます。ライセンスは、変更されたソースコードから構築されたソフトウェアの配布を明確に許可していなければなりませんが、派生ソフトウェアに元のソフトウェアとは異なる名前やバージョン番号をつけるよう義務付けるのは構いません。 (理由)

5. 個人やグループに対する差別の禁止

ライセンスは特定の個人やグループを差別してはなりません。 (理由)

6. 使用する分野に対する差別の禁止

ライセンスはある特定の分野でプログラムを使うことを制限してはなりません。 例えば、プログラムの企業での使用や、遺伝子研究の分野での使用を制限してはなりません。 (理由)

7. ライセンスの分散

プログラムに付随する権利はそのプログラムが再配布された者全てに等しく認められなければならず、彼らが何らかの追加的ライセンスに同意することを必要としてはなりません。 (理由)

8. 特定製品でのみ有効なライセンスの禁止

プログラムに付与された権利は、それがある特定のソフトウェア配布物の一部であるということに依存するものであってはなりません。プログラムをその配布物から取り出したとしても、そのプログラム自身のライセンスの範囲内で使用あるいは配布される限り、プログラムが再配布される全ての人々が、元のソフトウェア配布物において与えられていた権利と同等の権利を有することを保証しなければなりません。 (理由)

9. 他のソフトウェアに干渉するライセンスの禁止

ライセンスはそのソフトウェアと共に配布される他のソフトウェアに制限を設けてはなりません。例えば、ライセンスは同じ媒体で配布される他のプログラムが全てオープンソースソフトウェアであることを要求しては なりません。 (理由)

準拠について

(この節は「オープンソースの定義」の一部ではありません)

私たちはこの「オープンソースの定義」が、ソフトウェア界の人々の大多数が「オープンソース」という語に元来込めていて、今も依然として込めている意味を捉えていると思っていますが、この語が広く使われるようになるにつれて、その意味するところがいくぶん正確さを失っている感は否めません。そこで OSI では、ソフトウェアの配布に適用されるライセンスが OSD に準拠していることをOSI 認定マークで証明することにしています。 私たちは「オープンソース」という用語 を OSD に準拠しているという意味で使うことを推奨していますが、 総称的用語としての「オープンソース」には何の保障もあ りません。OSI 認定マークについての情報、そして OSI が OSD に準拠していると認めたライセンスのリストについては認定マークについてをご参照下さい。

更新履歴:

1.0 — DFSG と基本的には同一内容、MPL と QPL を 10 節に追加。
1.1 — LGPL を 10 節に追加。
1.2 — パブリックドメイン扱いを 10 節に追加。
1.3 — 10 節の名称を変更し、ライセンスの一覧を分離。手続についての資料を追加。
1.4 — パブリックドメインソフトウェアにおけるソースコードの必要条件を明確にした。
1.5 — GPL に合わせて、「複製に要するコストとして妥当な額」を認めた。
1.6 — 10 節を削除。元の内容は別のところへ移した。
1.7 — 10 節を「準拠について」で新たに置き換えた。

Bruce Perens が「Debian フリーソフトウェアガイドライン」としてこの文書の最初の草稿を書きました。その後彼は、Debian の開発者陣が 1997 年 6 月に行った、1ヵ月にも及ぶ電子メールによる討議において寄せられた意見を採り入れて推敲し、 Debian 固有の話題を文書から削除して、この「オープンソースの定義」を書き上げました。

正確を期して翻訳しましたが、誤訳や不備も多々あると思われます。あくまでも原文が正式なもので、この訳は参考程度であることに留意してご利用下さい。この訳のために被った損害に関して、訳者はいかなる責任も負いません