オープンソースの定義 (v1.7) 解説

八田真行 訳

「オープンソースの定義」は、ソフトウェア開発コミュニティが「オープンソース」という言葉で示そうとする意味の本質を捉えていると私たちが考える具体的な一連の基準、すなわちオープンソースなライセンスの下で配布されるソフトウェアが、独立のピアレビューや継続的、発展的な改良または淘汰のために将来に渡って入手可能であり続け、またそのようなソフトウェアが、閉鎖的な製品には不可能なレベルの信頼性と能力に到達することを保証する尺度を示すことを意図して書かれています。

ソフトウェアの進化の過程を動作させるには、人々がソフトウェアの遺伝子プールに寄与することをやめさせてしまうような近視眼的誘因に反論しなければなりません。これは、ライセンスの条項によって人々がソフトウェアをごく少数の人々しか見たり変更したりできないところへ閉じ込めてしまうことを防がなければならないということを意味します。

ソフトウェア開発者が自分のソフトウェアを OSI が承認したソフトウェアライセンスの下で配布するならば、彼らは「OSI 認定」マークをそのソフトウェアに適用することができます。この認定マークはユーザに対し、そのソフトウェアのライセンスが「オープンソースの定義」の趣旨に合致していることを知らせます。認定マークと申請手順についてのより詳しい情報はここから入手できます。

1. 再配布の自由

ライセンスが自由な再配布を要求するよう強制することで、私たちは、長期的な 利益の多くをいくばくかの短期的な販売収益を得るために投げ捨ててしまうとい う衝動を除去することができます。これを強制しないと、協力者たちを変節の誘 惑にさらしてひどく苦悩させることになってしまうでしょう。(戻る)

2. ソースコード

私たちは、意図的に分かりにくくされていないソースコードが入手できることを要求します。プログラムを変更することなしにはプログラムを発展させることはできないからです。私たちの目的はソフトウェアの発展をより容易なものにすることですから、変更が簡単に行えることを必要条件に加えています。(戻る)

3. 派生ソフトウェア

単にソースを読むことができるだけでは独立のピアレビューや急速な発展的淘汰を支えるのに十分ではありません。急速な進化を現実のものとするためには、人々がそのソフトウェアでさまざまに実験し、変更点を再配布することができる必要があります。(戻る)

4. 作者のソースコードの完全性

多くの改良を奨励することは良いことですが、ユーザには彼らが使っているソフトウェアについて誰が責任を持っているのか知る権利があります。反対に、ソフトウェアの作者と管理者にも彼らの名声を支え保護するために何を要求されているのか知る権利があります。

それゆえ、オープンソースなライセンスはそのソースが容易に入手可能であることを保証しなければならないのですが、一方でそれがいっさい変更されていない本来の基本ソースとパッチという形で配布することを義務付けても構わないということにします。こうすれば、「非公式」な変更点は利用可能でありつつも、基本ソースとは簡単に見分けがつくわけです。(戻る)

5. 個人やグループに対する差別の禁止

進化の過程から最大の恩恵を引き出すためには、可能な限り多種多様な人々やグループに、平等にオープンソースに貢献する資格を与えられている必要があります。そこで、私たちはオープンソースなライセンスが誰かを進化の過程から締め出すことを禁止しています。

アメリカ合衆国を含むいくつかの国では、ある種のソフトウェアに輸出制限を課しています。OSD 準拠のライセンスは、適用される可能性がある制限についてライセンス受諾者に警告し、また彼らには法に従う義務があることを示唆しても構いません。しかし、ライセンス自身にそのような制限が含まれてはなりません。(戻る)

6. 使用する分野に対する差別の禁止

この条項の主な意図は、オープンソースが商業的に使われることを妨げるようなライセンス上の策略を禁止することです。私たちは、営利的なユーザも私たちのコミュニティに加入してくれることを望んでおり、彼らがそこから排除されているような気分になっては欲しくないのです。(戻る)

7. ライセンスの分散

この条項の目的は、ソフトウェアを、非開示契約への同意を要求するなどの間接的な手段によって囲い込むことの禁止です。(戻る)

8. 特定製品でのみ有効なライセンスの禁止

この条項は典型的なライセンス上の策略のもう一つのタイプを禁止します。(戻る)

9. 他のソフトウェアに干渉するライセンスの禁止

オープンソースなソフトウェアの配布者には、彼ら自身のソフトウェアについては彼ら自身で選択する権利があります。

もちろん GPL はこの必要条件を満たしています。GPL が適用されたライブラリは、実行時にそれと能動的にリンクされるソフトウェアにのみ「干渉」するのであって、単に一緒に配布されるというだけならば他のソフトウェアには影響しません。(戻る)

正確を期して翻訳しましたが、誤訳や不備も多々あると思われます。あくまでも原文が正式なもので、この訳は参考程度であることに留意してご利用下さい。この訳のために被った損害に関して、訳者はいかなる責任も負いません