GPLv3受容の動向

最近のPalamidaの報告によると、ライセンスとしてGPLv3を採用するソフトウェア開発プロジェクトの数が3000を越えたそうだ。GPLv3がリリースされたのは去年の6月末なので、1年2ヶ月ほどで3000の大台に到達したということになる。ちなみに2000プロジェクトを越えたのは今年の3月末くらいだったので、1000上積みするのに5ヶ月ほどかかったということになろうか。経過のグラフを見ると増加のペースはやや遅くなってきている(2008年第二四半期の増分が700弱なのに対して第三四半期はおそらく300程度)ようなので、おそらく年内に4000を越えることはないと思う。ペースが鈍っているのは、既存GNUソフトウェアの移行があらかた終わったからだろう。

3000プロジェクトという数字が大きいか小さいか、なかなか難しいところだが(そもそもコードの量や有用性ではなくプロジェクト単位で数を云々することに意味があるかもやや疑問だが)、私などは最初にまとまった数が移行した後はせいぜい1年につき100プロジェクトも増えれば御の字と思っていたので、ほぼ予想通り、あるいはやや予想を上回るペースで受容が進んでいると見ている。ちなみに、連中が調べているのはGPL2からGPLv3へと明示的に切り替えたプロジェクト、すなわち俗に言う「GPLv3 (or later)」のものだけなので、ライセンシーから見てGPLv3相当で扱える「GPL2 or later」なものは含まれていない。Linuxカーネルの一部のように「GPL2 only」を主張するコードはむしろ少ないので、現実的にGPLv3が適用されているとして扱わなければならないGPL’dコードの量は、3000プロジェクトという数字から想像されるよりははるかに多いはずである。

ところで、現在世にあるGPL’dなソフトウェアのうち、3000個というのは大体どれくらいを占めているのだろうか。フェルミ推定ばりのいい加減さで申し訳ないが、私の概算は以下のような感じだ。

まずは、そもそもこの世にGPLが適用されたプロジェクトがいくつあるのか求めなければならない。とりあえずfreshmeatの統計を見てみると、freshmeatに登録されているプロジェクトのうち、GPLが全体ないし一部に適用されているものは私がこの記事を書いている時点(2008年9月22日)で26869プロジェクト、全体の60.32%だそうだ。GPLが適用されたソフトウェアが全体の6割くらいというのはそこそこ実感に即した数字のように思われるが、世の中に存在するオープンソース・ソフトウェア開発プロジェクトが全てfreshmeatに登録されているわけではないので、26869個というのは若干過小に出ている数字ではないかと考えられる。

そこで今度は本家SourceForge.netを見てみると、登録されたプロジェクトのうちGPLが適用されたものは88805プロジェクトであった。SF.netに登録されているプロジェクトは全部で133765個らしいが(公称18万だったはずなんだがあと5万はどこに行ったんだ?)、試しに6掛けしてみると133765*0.6~=80259ということで、先ほどのfreshmeatの話ともそれなりにつじつまが合っている。ただ、SFの場合.netも.jpもそうだが、とりあえず登録だけはしたもののその後まったく開発が続かず成果物はほとんど何も無いという「死んだ」プロジェクトが相当な割合で存在するので、こちらは実質的にはかなり過大に出ている可能性が高い(死んだプロジェクトのライセンスが変わるわけもない)。世界には奇特な人もいるもので、わざわざオープンソース・プロジェクトの「死亡率」を研究した人たちがいるのだが(Capiluppi, Lago & Morisio, 2003)、彼らによれば生き延びて開発が続くのは大体全体の15%くらいのようだ。また、最近ではSF.net以外にもGNU Savannahなど開発ホスティングをやっているところは多いし、自前のサーバでリポジトリを公開しているプロジェクトも相当な数に上るだろう。そのへんを勘案しないと実数に近いものは出てこない。そんなわけで、仮にSF.netにあるもののうち15%しか実質的にプロジェクトの体を為しておらず、またSF.netにあるのはGPLが適用されたソフトウェア全体の5割に過ぎないとすると、88805*0.15/0.5~=26641となる。うーん、あまりfreshmeatの結果と変わらないなあ…。

まあそんなわけで、どこまで行ってもかなり強引な概算に過ぎないわけだが、以上の話からすると、GPL’dなプロジェクトというのは多めに見積もって全部で27000プロジェクトくらいなのではないかと思う。そのうち3000ということは、GPLv3が適用されたプロジェクトが占める割合は現時点で全体の9分の1程度ということになろうか。感覚的にも、そんなものかなという感じはする。

投稿者: mhatta

A rapidly-aging old-school geek in Japan.